【特集グッチ】 USEN-NEXT宇野康秀が考える 「なぜ、GUCCIは成功したのか?」

グッチの成功はランウェイ上がすべてではない。創造性、知略、戦略、技術革新、そして意志……。 各界のリーダーによる分析が明かすのは、それが世界最高峰の英知、その集約によって成されたということだ。


辣腕経営者にも示唆を与える、真にドラスティックな集中と選択

ラグジュアリーからスポーツまで、幅広いブランドの買収・売却を行い、いわゆる”中と選択”を大胆に繰り返しながら変化し続けてきたケリング(グッチをはじめ、ボッテガ・ヴェネタ、サンローランなどを擁するグローバル・ラグジュアリー・グループ)には、ずっと注目してきました。近年のグッチの変革は、そんなケリングが企業として続けてきた集中と選択を傘下ブランドの本丸にも適用し、ビジネスモデルの転換を図ったということではないかと私は思っています。

こうした変革は歴史のある多くのラグジュアリーブランドが行ってきたことですが、今回グッチは思い切ってやったなと感じます。コンサバなデザインからアメカジの要素をラグジュアリーに融合した服へと変わったことで、世界中の新しい世代に支持されていますが、確かに見え方としては劇的な変化です。

しかし経営的な視点から見ると、新しいクリエイティヴ・ディレクターに起用したのは外部ではなく、グッチをよく知る内部の人材で、人事としてはそれほど劇的でもありません。そして内部の人材だからこそグッチの何を変え、何を残すべきかがわかっており、これまでの延長線上にある新しいグッチ像を形作ることができたのでしょう。

それもまた集中と選択ですが、何を変えて何を残すかということは、私たちの間でもよく議論されることです。USENもまさにそうであり、昔からのUSENがいいという方も大勢いましたが、変えなければ生き残っていけないこともあった。そういった意味では、グッチは変えるべきところは大きく変え、大切なところはしっかりと残したから成功したと思う。それはクリエイティヴ・ディレクターの手腕ですが、〝思い切ってやれ〞と言えたCEOも賞賛に値します。

やはりここまで変えると当然リスクもあったはずですが、そこをやり切って結果を出したのはすごいこと。日本の企業は経営的にも世間的にも、これほどドラスティックな集中と選択はなかなかやり切れないので。今回グッチには成功した経営モデルとして、もっと我々も大胆にやるべきということを学ばせてもらいました。

Yasuhide Uno
1963年大阪府生まれ。USEN-NEXT HOLDINGS 代表取締役社長CEO。インテリジェンス(現・パーソルキャリア)創業後、大阪有線放送社の代表取締役。2017年に映像配信会社U-NEXTと経営統合、グループ代表に。

Text=竹石安宏(シティライツ)