遠野の風土が生んだ深化した発酵食を味わえる「とおの屋 要」【ゲーテ旅特集2020】

その土地ならではの美味との出合いは、旅をする理由にも、目的にもなる。至福のひと皿が待つオーベルジュを厳選。

“発酵食の匠”が生み出す岩手の食材を活かした一皿

受け入れる宿泊客は1日1組、6名まで。「とおの屋 要」は、知る人ぞ知る“非密”のオーベルジュ。

岩手県の内陸・遠野にありながら、国内外から飲食のプロフェッショナルらが、宿オリジナルのどぶろくと発酵にこだわった独創的な料理を求めて訪れる。

「僕にとって菌は敵ではなく味方。湿度が高く寒暖差も激しいこの地で、カビが生えるのは意味があるはずです。食材の雑味や野生臭さにしても、抑えるのではなく、特徴をぶつけ合うことでの相乗効果を追究しています」と、主人の佐々木要太郎氏。

どぶろくの原料となる米は自ら無農薬・無肥料で栽培し、干し肉から酢まで、あらゆる発酵食を作りだす“極め人”だ。

米と一緒に数ヵ月漬けこんで乳酸発酵した豚挽き肉の表面を軽く炙り、帆立貝の肝やヒモを発酵させたソースを合わせた「豚肉の熟鮓(なれずし)」。

独特の香りが鼻に抜け、酸味と甘み、苦みなど複雑な旨味が口に広がる。

そこに、すっきりエレガントな味わいのどぶろくを合わせれば、発酵の奥深さと恵みに酔いしれること請け合いだ。

深化した発酵食と岩手の恵み、遠野の風情。日本のよさを再発見しに出かけたい。

とおの屋 要
住所:岩手県遠野市材木町2-17
TEL:0198-62-7557
客席数:3室
料金:要問合せ(1泊2食つき)
施設:レストランほか
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Text=村上早苗