【特集グッチ】ついに売上1兆円超え宣言! 数字で見るGUCCIの劇的な成長

今日のグッチ躍進を示す驚異的な実績の数々。直近のグッチの売上高62億1120万ユーロ(約7950億円)という数字はまさに鮮烈だが、注目すべき点は、投資目線でいえば、その額面ではないという。 今回のグッチの業績伸長で注目したいのは、不採算事業からの撤退や過激なリストラといった一時的要因に基づくものではなく、企業として構造改革に真正面から取り組んだ結果だということだ。他の数字を見ても、グッチの成長は息の長いものになる可能性が高い。投資アナリスト、レオス・キャピタルワークス シニア・アナリストの八尾尚志が分析する。


数字が語るグッチとケリング

▼グッチ2017年度の売上高
62億1120万ユーロ、前年比 41.9%増

「ビッザーリCEOとミケーレに交代し、わずか2 年足らずでこれだけの結果を出せたのは驚異的。ミケーレは外部のクリエイティヴ・ディレクターではなく、長年グッチに籍を置き、社員からの信頼が熟成されていたことも大きいと思います」。このペースを維持すれば、売上高100億ユーロも遠くなさそうだ。


▼アイテム別売上シェア
レザーグッズ 55%

鮮烈なファッションに目を奪われがちだが、アイテム別の売上はバッグ類や革小物といったレザーグッズが55%と圧倒的に多い。さらに八尾氏は靴の売上に注目すべきという。「グッチはスニーカーに注力しており、これが将来のメイン顧客であるミレニアル世代のエントリーを促しているのです」


▼流通経路
直営店での売上 85%

「卸値ではなく上代で販売できる直営店は利益率が高い。現在、既存の直営店の改装を世界中で行っているのは、そんな直営店での売上を伸ばし、利益率を高める狙いがあるはず」。店舗をやみくもに増やさず、既存店の収益性を高めるという地に足のついた戦略にもビッザーリCEOの手腕がうかがえる。


▼エリア別売上シェア&日本のショップ数
売上シェア:アジア太平洋34%、日本8% 
※日本のショップ数 72/全529

グローバルなエリア別の売上を見ると、市場の成長が見込まれるアジア太平洋と日本の合計で、42%もの割合を占めている。また日本の直営店舗数は現在72店あり、全世界における割合は約14%。にもかかわらず売上は8%となっており、その数字からは日本にはまだ伸び代があることがわかる。


▼ ケリング営業利益(一時費用除く)のブランド別シェア
73%

ラグジュアリーファッションからスポーツウェア、レザーアイテム、時計、宝飾にまで及ぶ世界的なブランド企業を15社以上保有するケリング。そのすべての営業利益に占めるグッチの割合は、実に73%にも上る。いかに現在のグッチが、ケリングの企業活動に多大な貢献をしているかがわかるだろう。


▼ケリング2017年度の売上高
154億7770万ユーロ、前年比 25%増

「グッチの売上が大幅にアップしたことでケリングの売上及び利益が増え、その結果時価総額も驚異的に高まった。これは売上と株価の相関性が非常に高いことを示しています」と八尾氏。2017年の時価総額はなんと前年比で2倍に迫るほどであり、企業価値が一気に高まったことを表している。


▼ケリング 2017年度の利益
2015年比 71.5%増

※上場大手ラグジュアリーブランド13社の売上合計及び利益合計をドル換算で算出し成長率を計算。 利益は 利払い、税引き前、減価償却費控除前の額。グラフはレオス・キャピタルワークス作成

欧米の投資家が通常ラグジュアリー市場としてとらえる大手ブランド13社は、2015年と’17年で比較すると、平均17.8%の成長率を記録したが、ケリング1 社の71.5%には遠く及ばない。「ということは、成長率が低いか、もしくはまったく成長していないブランドが、少なからずあるということです」


レオス・キャピタルワークス シニア・アナリスト
八尾尚志(Hisashi Yatsuo)
1968年生まれ。高い運用実績で注目される投資信託会社レオス・キャピタルワークス所属。海外を飛び回り、ラグジュアリーブランドを含む欧米企業の視察を積極的に行う。

Text=竹石安宏(シティライツ) 監修=八尾尚志(レオス・キャピタルワークス)