ジョルジオ・アルマーニに学ぶ 人生を豊かにする10のヒント

現状維持に興味はない。82歳を迎えた今も、情熱は燃えたぎり、進化し続ける。そんなアルマーニ氏の根幹にあるのは、生粋のイタリアマインドだ。人生の師が語るポジティブな言葉の数々には、成功の秘訣が隠されていた。

Q1
アルマーニ氏にとって「仕事」とは? 現役でブランドの先頭に立ち、クリエイションをし続けるそのエネルギーの源を教えてください。

私は自分の仕事が大好きです。この気持ちを常に持つことは、偶然にも私自身を、そして人生を若くアクティブに保つ秘訣となっています。40年間にわたり、ライフスタイルを創造するというテーマを極めることに専念してきました。その結果、ひと目でアルマーニとわかるスタイルを作り上げることができたのです。服をデザインすることは単にシンプルで美しくあればいいのではなく、同時に新しい方向性を提示していかなければなりません。恐らくそれは社会の変化に対応していくことと一緒です。私の場合、日々の生活のなかで人々に認識されるような強いメッセージが必要なのです。それを表現することが私の目指すべきところであり、前に進み続けるために自分に与えられた、素晴らしいインセンティブだと思っています。


Q2
ゲーテには「仕事が楽しければ人生も愉しい」というテーマがあります。アルマーニ氏にとって仕事とは?

仕事に対して愛情を持って取り組むこと。この点について、私は幸せだと思っています。なぜなら好きな仕事があり、充実感を得られ、興味深い人々に会える機会も与えられているからです。私の哲学はシンプルです。自分自身であること、着る人のために本当に役立つものを美しくかつ機能的にデザインすること。これは自分自身を鼓舞し続ける、大きな仕事のモチベーションになっています。


Q3
イタリア人と日本人のファッションに対する考え方や着こなし方はなぜ異なると思いますか?

文化や物事へのアプローチの仕方が違うので、異なるのです。ですが、イタリア人と日本人に共通することもあると思います、それは美やエレガンスのあくなき追求と審美眼です。


Q4
イタリア人の「人生」に対する考え方を、アルマーニ氏自身の経験から教えてください。

イタリア人は美への感性や調和に長(た)けていると思います。私たちイタリア人は、どこでも何にでも、美しさを見いだせる国に住んでいます。さらに、多くの人はいつもその美しさについて、互いに語り合っているというユニークな国民なのです。


Q5
今の日本人、そして昔の日本人の印象を教えてください。

私は日本の魅力的な文化はもちろん、分別があり、最大の困難に遭ってもそれに立ち向かうという日本人が持つ威厳に憧れを抱いています。シンプルでありながら深遠な日本人の文化、伝統と未来的なものを融合させる能力に長けている点にずっと強く惹かれていました。時が変化をもたらしているのだと思いますが、日本人の精神の核の部分は少なくとも色あせることなく、不変です。


Q6
Quality of Life(人生の質)について、アルマーニ氏はどのように捉えていますか?

イタリア人のQuality of Life(以下QOL)は真似のできないものであり言葉では言い表せないものです。他の国の文化との違いを理解するためには、本当にその国に行って経験する必要があります。QOLは美しさに自然と惹かれることから生まれていますが、美しさへの深い敬意を持つことからも生まれます。つまり、美しさはすべての物事の重要な核の部分にひとつひとつ刻まれているものなのです。そして、私たちイタリア人は、いつでも、これから先もヒューマニストです。私たちにとって気持ちよくいることは、何物にも代え難い、最も重要なこと。食べ方、着こなし方、話し方、といった生活するすべてのマナーに反映されています。


Q7
ヨーロッパのなかでも、イタリア人は個性が強く、人間くさく、人と人との距離が近いように思います。アルマーニ氏から見たイタリア人とはどんな印象ですか?

イタリア人は美しいライフスタイルが心底好きです。またそうあるように自分を高める能力があり、順応する能力も持っています。イタリア人は、どんな状況であってもクリエイティブであること、発明性に富んでいることが当たり前なのです。好奇心旺盛で冒険も好き。あなたが行く所どこにでもイタリア人を見つけることができるでしょう。そして出会うイタリア人は同じ場所には留まらず、何かしらを見いだして成功しているはずです。


Q8
アルマーニ氏にとって「家族」「友人」とはどんな存在ですか? 特にご自身に影響を与えた人物を教えてください。

家族は心の穏やかさを与えてくれ、気持ちを分かち合うことができる存在です。家族とは血のつながりだけではなく、一番親密で強いフレンドシップが持てる関係。私にとっては数少なく、決して壊れないもので、私の母からは大いなる品格と姉からは決断力の強さを受け継ぎました。そして親友でもあった建築家のセルジオ・ガレオッティと出会い、独立し、共同経営をするなかで、私のジョルジオ・アルマーニとしての旅が始まりました。


Q9
男性が歳を重ねることに対して、どんな考えをお持ちですか?

私は歳を重ねることを恐れてはいません。むしろ人生の終焉(しゅうえん)に近づくにつれ、経験を重ね、より賢く、より新しいことにオープンになれると思っています。私はとにかくファイターです。前に進み、決して人生に満足することはありません。それが私自身をエネルギッシュに保たせているのです。心の底では年齢はただの数、気持ち次第で、数えるだけのことだと捉えられるのです。


Q10
GOETHE読者に、よりよい人生を過ごすための秘訣を教えてください。

小さなことがほとんどですが大事なのは本質。真実だけに重きを置きなさい。悪意や無駄なことを避けなさい。日々をシンプルにして楽しみなさい。


Direction=島田 明 Photograph=Courtesy of Giorgio Armani

*本記事の内容は16年11月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。 14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)

2017.1.5