祇園の女将さんが伝授。花街で粋な男になるための 10の心得

一見さんお断りの花街。その扉が開けた日のために、知っておくべき作法を、長きにわたり祇園でお茶屋を営む女将さんが特別解説。花街でオトコの作法を磨けば、さらなる成功だって夢じゃない!

お茶屋さんの扉を開く前に......。押さえておきたい基本のキ

いつまでが一見さん?
一度紹介者に連れていってもらったからといって、その次からは自分でお茶屋さんを利用できるかといえば、そうではありません。自分の名前で予約できるようになるのは、紹介者の方が、そのお茶屋さんに「この方の口座をつくってあげてください」と口利きしてくださってから。何度お茶屋さんに出入りしても、その口利きがなければ自分自身で通えるようにはなりません。


お茶屋遊びをするなら芸を楽しんで
京都のお茶屋で遊ぶということは、つまり花街文化や芸舞妓さんの芸を支援し、今後継承するための応援をするということです。単にお座敷で遊んで、一緒にカラオケに行って楽しかった、ということではありません。花街の伝統文化を理解いただける方にこそ、お茶屋遊びを楽しんでいただきたいです。


[NG] 乾杯から焼酎やウイスキーは......
せっかく芸舞妓さんのもてなしを受けるのですから、日本酒をさしつさされつというような、お酌で楽しい交流ができるのが粋です。お好みもあるでしょうが、いきなり焼酎水割りやハイボールなどを注文して、グビグビひとりで飲むのはコミュニケーションを逃すもったいないことです。


[NG]  当日の予約・お勘定
お茶屋に通うことができるようになったからといって、当日の予約はいけません。芸舞妓さんたちの手配と用意もあるのです。予約は1カ月前だって早くはありませんよ。またお勘定ももちろん当日はいたしません。基本、お茶屋からの請求は月に一度。けれど、会社のご接待や会費制で利用されるなど、急ぎ請求書が必要ということもあるでしょう。その場合は予約をされる時に、その旨をお伝えください。

[NG]  においのこもる料理を頼む
点心や懐石などのお料理は、仕出し屋さんからの出前でご用意いたします。お客様の要望にはできるだけお応えしますが、お部屋ににおいがこもってしまうようなすき焼きなどのお料理はできればご遠慮ください。清々しい和室でいただく和食もいいものです。

[OK]  お酒が飲めない人は、逆に芸妓さんに勧める
「お酒は飲めないので」とお酒を拒まれる方がいらっしゃいます。飲まれないのなら、周りの芸妓さんに勧めてあげるのが粋です。ただし、芸妓さんのなかにもあまり飲めない人もいるので、無理強いはいけません。

[NG]  芸舞妓さんに触れる
芸舞妓さんが身につけているものは、それぞれのお家に伝わる貴重で高価なものばかり。みだりに手を触れないようお気をつけください。髪や白塗りなども綺麗に整えたものなので、乱さないようお願いいたします。

[NG]  舞の最中に食事をする
芸舞妓さんをお座敷に呼ぶ目的のひとつは芸を愛でることです。舞が始まったら、お食事などは中断して、舞をご鑑賞ください。芸の披露が終わったら、さり気なくお褒めの言葉をかけてあげてください。

[OK] 心づけは仲居さんに渡す
心づけはいつ渡せばいいのかと迷われることが多いようです。心づけは必ず渡さなければいけないものでもありません。芸舞妓さんたちに渡していただくようお願いして、お茶屋の女将さんや仲居さんにことづけるのが一番スマートではないでしょうか。

[NG]  お座敷の様子をSNSにアップ
お茶屋さんでお写真を撮られること自体は問題ございません。ただしそのお写真は、後にご自分やご家族が見て楽しむ程度にとどめてください。お座敷は秘められた世界、それを不特定多数の方がご覧になるSNSにアップしては、その秘密が損なわれてしまいます。

[NG]  外で芸舞妓さんと長話
なじみの芸舞妓さんと外で偶然会ったら挨拶程度にとどめておきましょう。他のお座敷に急いでいるところを引き留めては無粋です。またひと目芸舞妓さんに会いたい、姿を垣間見たいというお気持ちはよくわかりますが、お茶屋さんの前をうろついたり、待ち伏せしたりというのも、もちろんいけません。

[NG] 同じ花街でふたつ以上の行きつけをつくる
京都には5つの花街があります。そのいずれにおいても、贔屓にして通える(口座をつくれる)お茶屋は1軒のみ。一度ここと決めたら他に浮気することは許されません。どうしてもよそに行ってみたい時は、なじみのお茶屋を通すのがルールです。


Text=中井シノブ Illustration=伊波ひとみ

*本記事の内容は16年10月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。 14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)