【筋肉投資】名店HAJIME米田シェフ「料理は時間との闘い。スピード維持のために体を鍛える」

なぜ第一線で戦う者ほど、過酷なトレーニングを自らに課すのか。それは、トレーニングはもはや仕事の一部と化しているからだ。多忙な日常のなか、時間を確保しトレーニングという地獄の苦しみを乗り超えることで、仕事でのどんな逆境にも耐えうる精神が身につく。常に試練を己に課すからこそ、困難な仕事も達成できるのだ。本特集では、日々、限界に挑戦し続ける11名の猛者が登場。彼らの努力の結晶、筋肉に投資するその生きざまを、とくとご覧あれ!

料理もトレーニングも研究魂の結晶

ミシュラン三つ星だけでなく、「アジアのベストレストラン50」にも選出されるイノベーティブレストラン「HAJIME」。感性的でありつつも食材、栄養、表現まで細かに設計された料理は、まるで芸術作品だ。

大学で電子工学を専攻した米田肇シェフのロジカルな思考は、料理だけでなく肉体をも美しくデザインする。逆三角形で均整の取れた身体、顔と同じくらいに大きく張りつめた腕。躍動感と活力に溢れた動きに目を奪われる。料理人の米田シェフが、なぜそこまで筋肉を鍛えるのか。

「職業病ともいう腰痛や肋間神経痛に悩まされていました。筋力低下が原因だったようです。学生時代に格闘技の道場に通っていたこともあって、もう一度身体を鍛えようと思い立ち、4年前からジムに通い始めました」

筋トレ前と筋トレ中には、それぞれ配合を変えた特製ドリンクを飲む。筋肉を成長させるアルギン酸やEAAなど、自分の身体づくりに適したアミノ酸要素を取り入れることで、理想の筋肉、身体をつくる。

開業から8年走り続け、弱りつつある自分の身体を見直す時期でもあった。脊柱起立筋を中心とした広背筋を鍛えることで、前かがみの姿勢に耐えられる身体が培われ、料理をクリエイトできる自信が湧き上がったという。その軸にあるのは、料理にも通ずる研究魂だ。独学のトレーニングを重ね、オリジナルの食事改善や特製プロテインドリンクが互いに相乗効果を生み、20代のキレが戻った。

「どんな料理人も35歳を限界にスピードが落ちる。つまり、料理には運動神経が必要なんです。切るスピードなどすべての工程が時間との闘い。0.1秒の違いで料理も変わる」と米田シェフ。筋力設計が、料理にもよい結果をもたらすことを実感した。

今は1時間のトレーニングを3日続けて1日休み、2日続けて1日休むというローテーション。同じ部位を週2回鍛えることを徹底する。普段は鶏胸肉や低GI値のサツマイモや野菜を中心にした質量を管理した食事だが、休みの日には天ぷらやパスタなど好きなものを食べる。そんなご褒美も大切だと話す。

「洋服が似合うようになったし、店のスタッフの健康や体調への意識も変わりました」

今後はJAXAのSpace Food Xのメンバーとして宇宙食の開発にも力を注ぎ、まだ誰も食べたことがない料理を完成させる予定。筋肉は、日々高みを目指し追求するために欠かせない。

手幅を広めにとった、ワイドグリップチンニングで、大円筋と広背筋へ高い刺激を送る。


JOYFIT24 靱公園
住所:大阪府大阪市西区京町堀2-7-6
TEL:06-6443-8200
営業時間:24時間
休業日:なし
料金:月額 ¥7,618、入会金 ¥2,000、登録事務手数料 ¥3,000
https://joyfit.jp/utsubokouen/

Hajime Yoneda
HAJIMEオーナーシェフ 1972年大阪府生まれ。大学で電子工学を専攻し、エンジニアに。’98年に料理界へ転身。渡仏などで修業を積み、2008年に独立。史上最短で三つ星を獲得する。

Text=中井シノブ Photograph=鞍留清隆