「身体は鍛えるのではなく使えるようにする」 AOYAMA式!仕事に効くトレーニング論①

オフィスワークからリモートワークへとシフトする人も増えている。通勤という“定期的な運動”がなくなり、一日中PCの前で座りっぱなしという人も少なくないだろう。そこで気になるのが、体力低下&筋肉の衰え。「このご時世だからしかたがない」と放っておくと、仕事のパフォーマンスが急降下する危険性が! そこで、今こそ意識したい健康維持の秘訣を、トライアスロン日本代表選手として活躍し、引退後はトップアスリートらを指導する青山 剛プロコーチが緊急レクチャー!

今こそ健康の土台づくりをするチャンス

組織を活性化し、仕事の生産性を高めるには、従業員が健康であることが不可欠。そのためのノウハウを伝授する「健康経営」セミナーを開催し、経営者との交流も多い青山 剛氏。青山氏はトライアスロン選手として活躍後、コーチに転向し、オリンピック選手などを指導。現在は、パーソナルコーチングシステムTeamAOYAMAの代表を務める傍ら、セミナーや講演、スポーツ教室、執筆など幅広く活動する。

「みなさんご承知の通り、どんなに能力が高く、意欲があっても、健康でなければ、パフォーマンスは落ちてしまいます。身体のどこかに不調を抱えていれば、仕事に集中できませんし、集中できなければ、能力をじゅうぶん発揮できません。集中力と基礎体力の間には深い関係があるというエビデンスもあるくらいです」

とはいえ、コロナ禍で、仕事のしかたや生活がガラッと変わり、運動不足に悩まされている人も少なくない。健康が損なわれるピンチに直面している気がするが、青山氏は、「むしろ今は、自分の生活を見直し、健康を立て直す絶好の機会」と。

「この状況下で、クライアントとの会食や同僚と飲む機会がなくなった人も多いと思いますが、これは食生活をリセットするチャンス。在宅ワークで通勤が不要になれば、睡眠時間がじゅうぶん確保できますし、満員電車のストレスからも解放されるはず。健康だけにスポットを当てるなら、コロナ禍はピンチではなくチャンス。私はそう捉えています。

実際、私がおつきあいさせていただいている経営者の方々は、これを機に、会社の仕組みや戦略をじっくりと練り直し、ご自身の生活や健康を整えています。この状況を嘆いたり、焦ってジタバタしたりせず、土台づくりの時期だとドーンと構えているんですね。みなさん超一流のビジネスパーソンで、大きな成功を収めている方ばかり。こうしたイレギュラーなことが起こった時こそ、その人の真価が問われるのでしょう」

運動は健康になるためにするもの

以前は健康を意識して定期的に運動をしていたものの、コロナ禍移行、身体を動かすことがめっきり減ったという人は、「そもそも意識に問題がある」と、青山氏は指摘する。

「ジムが開いていないからトレーニングできないとか、参加予定だったマラソン大会が中止になったから走っていないという人は、目的を見誤っているのでは? プロアスリートでもないかぎり、多くの方々は健康を目的に運動しているのだと思います。であれば、どんな状況であろうと、日々適切な運動を続けているはず。それができていないとしたら、目的がズレてしまっているということ。まずは、『健康になるために運動するのだ』ということを、再認識してください」

「一方で、ジムの再開などスポーツできる環境が整いつつある中、これまでの鬱憤を晴らそうと、がむしゃらに身体を動かそうとしている人もいるでしょう。でも、基礎体力が落ちているのに、いきなりハードなトレーニングを行うのは非常に危険。料理に例えるなら、下ごしらえせずに強火にかけ、丸焦げにしてしまうようなもので、ケガするのが落ちですよ。そもそも“身体を鍛える”という発想が大きな間違い。アスリートでもないかぎり、身体は“使えるようにする”のが一番なのです」

たとえば、有酸素運動なら。マラソンやジョギングではなく、歩くだけでOK。正しい歩き方ができていれば、それだけで高い運動効果が見込めるという。また、エレベーターやエスカレーターをやめ、階段を上り下りするのもおすすめだとか。

「日々無理なく取り組める運動で、身体を使えるようにすることから始めてください。そんな風に、この非常事態を身体や心を整えることに活用することで、きっと将来が変わってくるはずですよ」

次回は、将来を切り開くために今すぐ取り組みたいトレーニングを教えてもらう。


TAKESHI AOYAMA

1974年東京都生まれ。パーソナルコーチングシステム「TeamAOYAMA」ヘッドコーチ。大学入学後トライアスロンを始め、世界トライアスロン選手権日本代表として活躍。'99年にコーチに転向し、オリンピック選手などを指導。2005年、パーソナルコーチングシステム「TeamAOYAMA」を設立し、現在はトライアスロンやマラソン指導のほか、セミナーや講演、スポーツ教室、執筆など幅広く活動する。(公社)日本トライアスロン連合・指導者養成委員であり、ゲーテ主催のトライアスロンチーム「GLT」のコーチも務める。『仕事ができる人の「走り方」』『体幹美筋トレ』など著書多数。
青山 剛オフィシャルHP

子どもの健全な発育発達を考えた運動指導チャンネル「スイッチマン青山 剛」https://www.youtube.com/channel/UCjrsv3qWOkNfrLhgXv1bK4A)も好評。


Text=村上早苗 Photograph=鈴木規仁