武田真治 限界を超えてたどりついた肉体の極致

思わずハッと息をのんだ。決して大きくはない身体に筋肉が凝縮されている。ストイックなまでにトレーニングを続ける、その原動力は揺るぎなきプロ意識からきているのだ。

苦しさを楽しめるようになる

「僕は、我慢して手に入るものはないと思っているんです。我慢をするくらいなら努力すればいい。食べたいものがあれば、食べる。おかわりをしたければ、すればいい。あとは食べた分、運動して消費すればいいんです。食べたいものも食べず、運動もしない人生なんて、つまらないと思いませんか?」

かつてフェミニンな男性の代表のようにいわれていた武田真治も今や40歳。体重50キロ台のスリムな身体は変わらないが、服を脱ぐと見事に盛り上がった胸筋と割れた腹筋が現れる。

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「最近は、週2回15kmを75分間を目標に走ることと、週3回自宅でのベンチプレスのトレーニングを続けています。ベンチは30、50、70、90キロを10回ずつ上げて、最後に30キロを100回連続で上げる。僕が身体を鍛え続けているのは、ひと言でいえば、健康のためなんです」

武田は25歳のころ、顎関節症を患ったことがあったという。

「何もしなければ、また身体のトラブルが起こるかもしれないという恐怖心が自分の潜在意識のなかにあります」と、トレーニングを開始した。

「当時は体力がなかったので、すべての負担が顎の関節にかかってしまっていました。強烈な偏頭痛に苦しみ、口を開けられないから食事も面倒になってくる。そうするとますます身体が痩せていくという悪循環。医師から身体全体に筋肉をつけて顎の負担を減らすように指導され、最初に薦められたのが縄跳びでした。縄跳びって大人になってやってみると結構難しいし、キツいんです。最初は50回もできませんでしたが、毎日跳び続けていたら、1カ月後には1度に500回跳べるようになりました」

縄跳びが跳べるようになったら、腕立て伏せや腹筋というシンプルなトレーニングを開始。その次にハマったのが、自転車だった。

「自転車は初心者でも時速25kmくらいで3~4時間は漕ぎ続けられて、びっくりするくらい遠くまで行けるんです。気分が変わるし、達成感もある。当時は、故忌野清志郎さんのバンドメンバーだったこともあり、必然的に彼の自転車チームに入り、始めて半年後には東京から鹿児島まで10日間で行くツーリングにも参加しました」

こうして基礎体力がつくと、パーソナルトレーナーの指導を受けるなどして知識も増え、身体を鍛えることにのめりこんでいったという。

「ランニングを始めてからは、有酸素運動中毒みたいになって、毎日ランナーズ・ハイに達しないと落ち着かないところまでいったんです。当時は、1日おきに20km走り、それ以外の日はボクシングジムに通っていました。仕事より運動をしている時間が圧倒的に長かったですね」

体力がつくと、精神的にも安定したという。

「運動して疲れているくらいのほうが謙虚になれるんじゃないかな(笑)。役者も舞台の仕事などは、体力勝負。どんなアクションでもケガをすることがなくなったし、ボクシングをやったおかげで共演者との距離感も測れるようになりました。ボクシングはすごく勉強になるんです。闘争本能をむきだしにして殴り殴られしていると、人間も動物だなと思えてくる。自分の弱さを知ることもできるし、暴力の虚しさも学ぶことができた気がします」

やると決めたら、手抜きなし。とことんやり抜くのが武田流だ。撮影前にウォーミングアップとして腕立て伏せを始めると、一気に100回を2セット。さすがに2セット目の最後はかなり辛そうだったが、それでも最後まで膝をつくことはなかった。

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「ナインティナインの岡村(隆史)さんが、『肉体的限界は、精神的限界の遥か先にある』とよく言っていましたが、まさにそのとおりだと思うんです。例えば、走っていて『疲れたな』とか『歩きたいな』と思った時に『本当に苦しいのか?』と自分に問い直してみる。そうすると、意外とまだいけるものなんです。それを繰り返していけば、いつの間にか自分が思っていた自分の限界を超えることができる。高いお金を払ってスポーツジムに通わなければ身体を鍛えられないわけではありません。苦しさを楽しめるようになれば、自分ひとりでも、どんなにキツいトレーニングでも乗り切れるはずです」

Shinji Takeda
1972年北海道生まれ。90年の俳優デビュー以来、ドラマ、映画、舞台など幅広い分野で活躍。サックスプレイヤーとしても10年以上のキャリアを誇る。