BEAMSが空間プロデュースした次世代型診療所「チームメディカルクリニック」のドクターとは?

10月、虎ノ門エリアに開院した「チームメディカルクリニック」。 旧態依然とした医療システムのIT化を図り、空間プロデュースをBEAMSに依頼するなど、新しい試みに積極的に取り組んでいる。 その陣頭指揮をとる理事長かつ整形外科医でもある小橋大恵さんの半生と、熱い想いを聞いた。 


「この中でお医者様はいませんか?」と聞かれた時、自信を持って手を挙げられるようになりたかった

「ITが身近にある現代にあって、医療機関のシステムだけは中々アナログから抜け出せない。それでは、受診者は違和感を抱き、医療が身近なものにならない」。そう考え「チームメディカルクリニック」開院にあたり、IT化を促進した小橋さん。根底にあるのは、「受診者が望む医療を提供しないと、プロとは言えない」という想いだ。それは、ハード面だけでなく、ソフト面にも反映されている。

「受診者が望む医療を提供するには、心を傾けて診療することが欠かせません。この理念を、全スタッフが共有できるような研修を、定期的に行っています。理念が根づけば、スタッフそれぞれが、どう行動すればよいか自ずと判断できるようになりますから」

この言葉ひとつとっても、小橋さんの中に「受診者・患者ファースト」がみてとれる。医学部卒業後、研修先に救命救急を選んだのも、その表れだろう。

「私、飛行機などで、『この中でお医者様はいませんか?』と言われた時、自信を持って手をあげられる医者になりたかったんです。いろんな患者が運び込まれる救命救急で経験を積めば、大半の病気やケガには対応できる基本が身につくだろうと思って。それに、年齢を重ねると、一般的には、(あらかじめ日時が決まっている)予定手術メインに移行するのですが、若い時に緊急手術をたくさんこなしておけば、いざという時に対応できるんじゃないかという考えもありました」

「できるかぎりのことはやってみよう」という精神で、クリニック運営に挑戦

小橋さんが所属したのは、前橋赤十字病院。群馬県で唯一高度救命救急センターを有し、ドクターヘリの基地病院にも指定されているなど、群馬県の救命救急の核となる大病院だ。そこで、無我夢中で業務に当たるなか、専門を整形外科にすることを決める。

「実は、救命救急には、高齢者の骨折といった整形外科系の患者がとても多かいんですよ。それで関心を持つようになったのです。治療によって快復する方も多く、そこに、やりがいを感じました」

その後、複数の病院で経験を重ね、プライベートでは結婚も。夫の転勤に伴い、上京し、総合病院の整形外科に勤務している時、転機が訪れる。巡回健診をメインとするクリニックの理事長職の話が舞い込んだのだ。

「経営の経験はまったくなかったのですが、お世話になっている方からのお声がけだったので、お力になれるならと、お引き受けしました。規模も今より小さかったので、理事長の仕事もそれほど多くなかったですし。ところが、就任して1年ほどたった時、『虎ノ門にクリニックを開院します』と告げられて。驚きはしましたが、戸惑いはなかったですね。私、初めてのことに抵抗がないんですよ。これまでずっと、『自分にできる限りのことはやってみよう』という精神で、生きてきたというか」

理事長、医師、妻、母という"4足のわらじ"で「毎日死ぬほど忙しいです(笑)」

現在の場所に、「チームメディカルクリニック」の前身となるクリニックがオープンしたのが2016年4月。その半年後、小橋さんは第一子を出産。理事長、医師、妻、母と“4足のわらじ生活”がスタートした。しかも、’18年夏には第二子が誕生。その後、次世代の医療機関を立ち上げる話も持ち上がり……。

「無事開院を迎えた今も、毎日、死にそうなくらい忙しいですよ(笑)。朝は5時起きで、7時半には子ども二人を保育園に送り、それから電車で通勤なのですが、この1時間は本当に貴重! 幸いにも座れるので、PC作業はそこで済ませるようにしています」

9時から16時過ぎまで診療にあたり、その後帰宅。休む間もなく、子ども達に夕食を食べさせ、お風呂に入れ、21時には寝かしつけを。

「たいてい子どもと一緒に寝落ちします。でも、22時には目を覚まし、食事をしてから、退勤後に入ったメールに返信するなど、運営にまつわる業務を行う感じですね。就寝するのは……、24時過ぎから1時の間くらいでしょうか。ただ、下の子がまだ1歳なので、夜中にミルクを飲むために目を覚ますんですよ。それも、2、3度(苦笑)。ゆっくり寝たいなと思うこともありますが、でも、それほど苦じゃないんですよね。救命救急時代に経験しているから、慣れているのかも」

そう言った後、「夫も、すごく頑張ってくれていますしね」と、笑顔を見せる小橋さん。聞けば、保育園のお迎えをはじめ、食事や入浴なども分担。休日は子ども達を連れて外出し、小橋さんに「ひとりになれる時間」をつくってくれることもあるという。

「夫の仕事は医療関係ではないので、私の業務がどんなものかわかっているわけではないんですが……、それでも、『君に与えられた使命なのだから、頑張って』と、応援してくれるんです。本当に助かっていますし、ありがたいなと感謝しています。

今は、女性が働き続けるのが普通になりつつありますよね。でも、女医の多くは、結婚や出産を機に辞めてしまったり、パート的な働き方にシフトしてしまったりが、すごく多いんですよ。それって、すごく残念だし、もったいないと思います。私は、決してスーパーな存在ではなく、ごくごく普通のお母さん。そんな人間でも、医師として働き続けることができるし、それをサポートしてくれる男性もいるのだということを、私の姿を通じて、少しでも広まれば嬉しいです」

TEAM MEDICAL CLINIC
住所:東京都港区西新橋1-5-14 内幸町1ビル1・2階
TEL:03-6206-1020
受付時間:9:30~18:00
休診日:土曜・日曜・祝日
診療科目:整形外科、脳神経外科、自由診療、健康診断・人間ドック
アクセス:都営三田線内幸町駅徒歩1分、東京メトロ銀座線 虎ノ門駅徒歩4分
https://www.team-medical.or.jp


Text=村上早苗 Photograph=鈴木泰之


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