水道橋博士のトレーニング論 あの人はどうしてそんなに若いのか?

タレントとしての活動はもちろん、書き手として健康に関する本など数々の著書を持つ水道橋博士。芸と身体づくりにストイックな男のプロ意識に迫る。 短時間で超人ハルクに変身できる加圧の正体

美しい男は、常に自己承認を繰り返している。
水道橋博士×加圧トレーニング age50

短時間で超人ハルクに変身できる加圧の正体

 先日行われたお笑いライブ。水道橋博士は浅草キッドでトリ出演、披露した漫才はプロレスネタで、途中裸になる場面があった。オープニングではフサフサだった頭の毛は、帽子をとるとまん中がきれいに剃られ、さらにおもむろに服を脱ぐと、ムキムキのものすごい身体。会場は一気にどよめきに包まれた。
 その数週間前。博士は駒沢のトレーニングジムにいた。そして専属トレーナーの石井基善氏にこう告げた。「脱いだら、あいつはあんないい身体してるんだって驚かせたい」。そう、博士は一発の出オチ、その一瞬のためだけに、みっちりと集中トレーニングを行ったのだ。ただ多忙のなか、短期間でそれが成し遂げられたのは、方法が加圧だったからに他ならない──。
 もはや日本のみならず、世界中にその名を轟かせている「KAATSU」。腕や脚のつけ根を専用の加圧ベルトで締め付け、適切に血流を制限した状態で行うトレーニング方法のこと。それによって大量の乳酸が溜まり、筋肉が高い負荷を得たと同じ状況に追いこまれる。脳が回復させようとする反応が高まり、成長ホルモンが大量に分泌される。つまりより短時間、軽い負荷の運動で、著しい筋力アップの効果を得ることができるのだ。
 博士は2006年に加圧の存在を知り、いち早く目をつけた。
「番組の取材の時に初めて見たけれど、ロケ中のたった1時間で、身体の変化がひと目でわかるっていうのは衝撃的だった。みるみる筋肉が膨れ上がって、これはすごいと」。そして2006年に著書『博士の異常な健康』にて自らモルモットとなり実際に体験。続く著書『筋肉バカの壁』とともに、その驚くべき効果を渾身レポートしている。
「言ってみれば超人ハルクに変身するような感じ。それを伝えたい、その使命感でしたね」
 この本がひとつの火付け役となり、その後、加圧は芸能人の間で急速に広まった。
「結局、忙しい人向きなんです。筋トレのために週3回2時間費やせないけど、加圧なら限界に達する早さが縮まるので、極端な話、10分でも追い込める。つまり合法的にドーピングをやるようなもの。言葉は悪いけど」

自分を褒める行為を意識的につくる

 ここで浮かび上がってくるのは、そこまでして「自分を追い込む」ことを辞さない、プロ意識の高さだ。
「トレーニングをやり終えた時、疲れているか疲れていないかっていったら、疲れてないんですよ。むしろすごい爽やかになっている。 脳が『お前今日もやり通した、すごいいい顔だぜ』みたいなことを言ってるから。タレントさんとか女優さんとか、体型をキープしている人の多くはそうだと思う。日常のなかで、自分で自分を褒めてやる行為、いわゆる自己承認を常に繰り返してるんですよ。普通の人は、なかなかその瞬間をつくらない」
 取材後、石井氏が、博士についてこう語った。「どういうタイミングでどんなトレーニングをすべきか、もちろん理解しているんですけど、それよりも、やると決めたら毎日でもやりたい人。2日連続で腕をやっても意味ないよと言ったら、じゃあ別の部分でいいからやりたいと。ふざけることにズルをしないんです」
 そして博士が最後に言い残していたことを思い出す。
「常にフルチンになりたい気持ちがある。精神的にむき出しでいたい。でもだからといって、美しい身体でいたいってわけでもないんです。そもそも僕なんかは美しくないですからね。醜い男も面白い。売れてるダメ芸人はそれを演出するために、ストイックに太っていますから」
 生き馬の目を抜く芸能界において、自分をアピールするために身体を鍛えることなど、たやすいことなのかもしれない。「いくら身体をつくっても、内面の強さが一致してないと、ただの張り子の虎。敬意を持たれないですから」


Hakase Suidoubashi
タレント、コメンテーター、お笑い芸人
『ニッポン・ダンディ』(TOKYO MX)、『あさイチ』(NHK)、『たかじんNOマネー』(テレビ大阪)などメディア出演のほか、著書も多数。最新刊は芸能人の濃い生き様を描いたルポエッセイ『藝人春秋』で、累計8万部を突破。有料メルマガ『水道橋博士のメルマ旬報』を月2回配信。
加圧トレーニングスタジオ&ランニングステーション「park」
撮影が行われたのは、駒沢の加圧トレーニングスタジオ&ランニングステーション「park」。ここの代表者・石井基善さんが水道橋博士の専属トレーナーを務める。 
http://www.park-komazawa.com/

Text=山村光春、森本裕美、井上健二、山内宏泰 Photograph=吉場正和、太田隆生、高橋 葉


*本記事の内容は13年4月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい