"機敏に動けるカラダ"を手に入れろ! ~吉田輝幸の目指せ!ビジネスアスリート<プロローグ>

優秀なビジネスパーソンは、自身の肉体をメンテナンスし、常にベストなパフォーマンスを生み出す体づくりを実践している。そんな高い自己意識を持つ者を「ビジネス・アスリート」と定義するのが、吉田輝幸氏。EXILEフィジカルコーチとして、また他にも多くのアーティストや著名アスリート、名だたる経営者からも絶大な信頼を寄せられるトレーナーだ。この連載では、「ビジネスアスリート」になるためのトレーニング術をお伝えする。


"最速最大効果"のトレーニングを伝授

「スポ-ツ選手の使命が試合で勝つことなら、ビジネスパーソンのそれは、仕事で成果を上げること。中身は違っても結果が勝負という点では、どちらもアスリートだと私はとらえています。スポーツ選手にとっては主体である競技の補助としてトレーニングがあるように、ビジネスアスリートもトレーニングを補助として、主体である仕事の生産性を高めることが可能です。よりよい仕事ができるようになるためには、『機敏に動ける体』が不可欠だからです。アスリートも本業は競技、トレーニングに求められる要素は最短で最大の効果。ビジネスパーソンもアスリート同様で時間に追われています。そのため、最短で最大の効果を出すプログラムが必要です。この連載では、多くのアスリートを指導してきた経験から導きだした"最速最大効果"のトレーニングを伝授します」

瞬時に下せる決断力や、迅速な行動力、ハードワークに負けないタフネス……。確かに、ビジネスには欠かせないこうした能力を備えた体は「機敏に動ける体」であるはずだ。それを手にするものとして、吉田さんはかねてより「Core Performance®(コア・パフォーマンス)」というコンセプトを提唱してきた。体のコアとなる体幹を正しく使って、ファンクショナル(機能的)に動ける体づくりをしようというこのメソッドは、20代半ばでアメリカに渡った吉田さんがいち早く習得して取り入れ、日本で紹介した。

ところが、常に最新のトレーニング理論や手法を研究しアップデートし続けている吉田さんは、コア(体幹)の意味するところも今や、世界レベルの最新の見解は日本の一般の理解とは変わっていると言う。

「体幹というと体の中心にある『筋肉』に限定されがちでしたが、今はそうではなく、『人間の体のベースメント』を意味すると私は考えます。筋肉だけでなく関節も含む体のさまざまなパーツと、それらによって行われる呼吸、立つこと、歩くこととなどの動作、加えて安定性や可動性をも含んで、ベースメントとされるのです」

さらに注目すべきは、呼吸にまで立ち返る人の体の動きの核――文字どおり「コア」から整えるヒントは何と「赤ちゃん」にあるという。しかもそれこそが最先端のトレーニング術なのだとか。一体、どういうことか?

「寝返り、ハイハイ、立ち上がっての二足歩行など、赤ちゃんは、全身の筋肉量が大人に比べて圧倒的に少ないにもかかわらず、さまざまな動きをスムーズに行えるようになっていきます。これは人間にもともと備わったコアな機能である体幹をうまく使えているからです。体の深部のインナーマッスルである横隔膜、腹横筋、骨盤底筋群が呼吸によって空気をはらんだボックスをつくり、それを軸として使うことで、少ない筋肉でも体に負担をかけずに動けるのです。

だが、大人になるにつれ、私たちは体の外側だけで動こうとするアウターマッスル優位の状態になりがちです。すると、左右どちらかの部位だけを使うようになって不自然なクセがついたり、力で無理に動こうとするため余計な負担もかかってしまう。その積み重ねは怪我や故障のもとになり、体は疲れやすくなる一方です。ビジネスアスリートにはこれは大敵のはず。疲れた体で、機敏に動くことはできません」

そこで、赤ちゃんに倣い、呼吸に始まり四つん這い、寝返りをうつといった基本の「キ」となる動きから、体幹主体で再構築していこうというのが、吉田さんの最新トレーニングの神髄だ。

「赤ちゃん……?」と侮ることなかれ。欧米を中心に広まったこの手法は目下、錦織圭選手や室伏広治選手などトップアスリートが実践していることで注目され始め、何より、吉田さんのクライアントである多くの経営者たちも取り入れ、成果を上げているという。

「大勢を率いて企業経営にあたるような方々は、やはりスマートです。トレーニングひとつも"正しい"方法で行うことの重要性への理解が深く、積極的。そもそも私は、トレーニングにかける時間は1分1秒でも短くあるべきだと日頃から主張しています。削れた時間は、少しでも長く仕事の場でこそ生かしていただく。そのために、最短で最大の効果をもたらす最先端トレーニングを提供したいのです」

真摯にこう語る吉田さんが自信を持って打ち出す新たなトレーニング。ビジネスの場で強靱かつしなやかに動ける資本(肉体)を手にするために、体がたどってきた歩みのおおもと、すなわちコアである赤ちゃんの動きに従うという最短ルートが今、示された。それにより

① 赤ちゃんトレーニングでベースをしっかり整えたうえで
② 筋トレ
③ ファンクショナルな動き(ムーブメント)のトレーニング

これら3つの階層を、連載を通じて積み上げていく。もちろん、「トレーニング」とともに体づくりの三位一体を成す「栄養」「休養」についても最新のノウハウを紹介する。

「見た目重視のボディメイクではありません」

吉田さんは、断言する。しかし機敏に動けることの重要度や、そのために動きのコアから根本改造するという高い意識を宿した肉体は、単に見てくれをよくしたそれとは一線を画す魅力を放つのではないか。結果は、皆さんそれぞれが実感していただきたい。次回、自然で深いやり方に学ぶ「呼吸改革」から早速スタートする。シンプルな内容ながら、これを終えてスッと立ったときの身体感覚の違いに驚くはずだ。動画でわかりやすく伝授するので、乞うご期待。

続く

Teruyuki Yoshida
EXILEのフィジカルコーチとしてEXILEのパフォーマンスアップに従事し、自らのパーソナルトレーニングジム「PCP」においてパフォーマンスコーチ&ディレクターも務める。正しい身体の使い方、正しい動きによって最高のパフォーマンスを引き出す「吉田コアパフォーマンスメソッド」を提唱。


Text=野田まゆ Photograph=鈴木規仁 協力=LDH SPORTS